お星様になったDONCHI
パトラッシュとマックス【1】
  パトラッシュとマックス【2】
MAXを迎えた日

パトラッシュとマックス(2)



いじめられているパトラッシュのはけ口は今度は、かわいがられているMAXに向けられます。解放スペースにいるときは逃げられてしまうので、小屋に追い込んでからいじめたようです。人が大好きなMAXは人の気配を感じるとそばに行きたくて行きたくて仕方ありません。ところが、パトラッシュがおまえは行くなと壁に押しつけて動けないようにするのです。

私が初めて4歳になったMAXに会ったときにもそうでした。壁に押しつけられながら私の目をじーっと悲しそうに見ていたのを覚えています。撫でてあげたかったけれど、後でパトラッシュにもっといじめられるのではないかと思い、撫でてあげることもできませんでした。おかあさんも、普段後でいじめられる事を心配して先住犬のパトラッシュの名前しか呼べなかったそうです。

4年間もどんな思いで耐えていたのでしょう。それでも、仲間としてともに暮らし幸せだったのでしょうか。ウンチをさせてもらえなくても、信頼するゴリさんのもと、MAXは幸せだったのでしょうか。

ある日親分のはちべえさんが、病気で突然亡くなってしまいました。子分のゴリさんも、親分のいないおうちにいつまでもいるわけにもいきません。かわいそうなのは、二匹の犬たちです。面倒を見る人がいなくなってしまいます。小さなおかあさんには、二匹を散歩に連れていくことなどできるわけがありません。どうにか一匹でも飼ってもらえるところはないかと必死で探していました。

知り合いから話を聞いて、ゴールデンレトリバーのDONCHIを亡くしたばかりの私は、悩みました。ただ、DONCHIの写真にいつも「もう犬なんか飼わないよ、でも、もしも可哀想なワンコがいたら、DONCHIがうちに連れてきてあげてね。」と泣きながら話していたので、運命的なモノを感じたのも確かです。まして、可哀想に思ってしまった私は、そんなに日を置かずに会いに行きました。 壁に押しつけられて悲しい目をしたMAXに初めて会ったときも、また運命的なモノを感じました。連れて帰るならこの子だと決めていました。というより、人間の勝手な気持ちではあるものの、可哀想だと思ってしまった瞬間にもうすべて決めていたのかもしれません。色々悩みましたし、不安がたくさんあったことは確かですが、愛情を注げる自信だけはなぜかありました。

MAXが家族の一員になって、半年が過ぎました。私もやっとMAXを全面的に信じられるようになり、MAXもまた私を少しは信じてくれるようになったと感じています。最初の頃の不安がうそのように、MAXではなく私の方が癒されているのを感じます。

MAXにとって何が幸せなのか、今でも考えてしまうことがあります。彼にとって、ゴリさんや、パトラッシュ、親分のはちべぇさん、おかあさんとの別れは、それはそれはつらいモノだったのではないでしょうか。人間の勝手な事情で、二度も悲しい別れを経験させてしまいました。

私の家はごく一般的なお家なので、初めて家の玄関から中に入ったときに、あまりの狭さに「なんぢゃこりゃ?冗談じゃねぇ」と思ったかもしれません。どうして自分は捨てられたんだろうと自分を責めているかもしれません。MAXの目は家に来た頃真っ赤でした。毎日泣いていたんじゃないかと本気で思います。その赤みも今は大分薄くなってきました。私にできることはMAXに最後まで変わらぬ愛情を注ぐことだけです。もしかしたらMAXの方が、「しょうがないな。ここにいてやるか」と思っているのかもしれません。

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